ロック

「この前の花火大会の日、ベランダで手持ち花火をしたわ」

「ロックだねぇ」

「誰に反対されても、好きだから酒もタバコもやめないわ」

「ロックだねぇ」

「たとえ今あなたに引き止められても、もう引き返さないわ。絶対よ」

「おー、ロックだ」


電車が小さく揺れるたび、あたしのピアスがじゃらじゃら音を立てる。

あたしはもう決めたんだから。



「…ところでさ、これ。要らない?」


彼の骨張った指先でつんっとつままれたもの。

鈍く小さく光るそれは、あたしと彼を繋ぎ止めるには十分なものだった。


「ロックだろ」


「……それはキーだよ。…ばか」

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