第一四九回 突き止める黒幕。


 ――場所は、まだ万博。そしてまだ終わりを迎えてもいない、追跡と撲滅。



 可奈かなは端末一つで追跡を続けていた。三十体ものロボットの暴走を食い止めた後であっても、まだ会場の真ん中に座っている。追跡している相手は、ウイルスの発信元……


 自然現象なのか? それとも人為的なことなのだろうか?


 それからの追跡となる。手段は逆探知の応用版……暴走していたロボットから、ウイルスの発信元を特定する策。暴走していたロボットを数多く食い止めたのは、僕と翔さんが乗り込んだ『球玉』よりも、旧号の方が数多く食い止めている。有り得ない程の機動力を持ち、飛び出す前腕……所謂ロケットパンチが大活躍していた。



 試合は中断しているも、


 観客たちは見守っている。端末……と言いながらもPCを開けて、その前に座っている可奈。その周りを僕らは囲っている。七人が集っている。密を意識しながら。密を密かに避けている。その証拠が、ソーシャルディスタンスを守っているということ。


 そして突き止めたのだ。


 弾む可奈の表情が、それを物語っていた。


 それからどうするのか? そこからが可奈の独断場。誰も口を挿むこともなく、誰も手出しすることもできないの。ある意味、そこが可奈の聖地ともいえる域なの。


 ウイルスを仕掛けた誰か……


 実は存在しなかったのだ。自然に発生したものだった。なら、どういった経路で? そう問うにも、それを調べるのは困難極まる。すでに事が起きた後だから、次に繋げるしかないようだ。感染を押さえるためのアイテムを必要とする。これに尽きるの。


 ウイルスブロックをロボットたちに施す。ウイルスの特性を調べながらも、ワクチンの完成度を上げる決意。……これにて、まずは休息。それから再開される。ロボットたちによる試合の続き。そして僕らが施す応援と、観客たちの応援にも紛れて。



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