第一四四回 大局の意味とは。


 ――それはエンゼルボールが、アンさんの思考から言葉になった時から始まった。



 なら、アンさんの言う大局の意味と、エンゼルボールの関係は何か? 本当に、人類の抹殺が目的だったのか? その答えが、……その真相が明かされる時、パラレルな世界の運命を知ることになる。そのことについてはしょうさんが、身をもって体験したという。



 ある時の話し合いだ。


 アンさんと翔さんが二人きりになったその瞬間……


 今のパラレルな世界は、やがて……いや、もう三か月ほどで、現実の世界を崩壊に導くと宣告を密かに受けていたのだ。その大局を防ぐ方法とし密に、打ち合わせていた。


 アンさんと翔さん……

 そこから、アンさんの娘のシャルロットさんへ……


 僕らの知らない世界があった。「水臭いじゃないか」と怒る僕を制する翔さんは、「まあ、落ち着けって。こうしないとな、俺とお前は、もう二度と会えなかったんだぞ」


 と、翔さんは深刻な表情で言うの。


 静まる周りの皆、……あっ、ここはラーメン屋。翔さんは究極のメニューを追って、ここでアルバイトをしているの。周りの皆は千佳ちか可奈かなせつにシャルロットさんのこと。


 ――お話の続きは、


 パラレルな世界が、現実の世界に及ぼす影響……それは、現実の世界を呑み込むというもの。エンゼルボールは消滅を司る。パラレルな世界の消滅……でも、もし消滅したとしたら現実の世界での時の流れが狂うという。つまりは引力の関係、自転速度に大きな影響が……ならば、融合する必要がある。融けることで、どちらの世界も救うことができる。


 それができたのは、まさにエンペラーの力。


 つまり、エンペラーの正体は……実は、翔さんのお母さんだった。翔さんと共鳴する理由はそこにあった。エンペラーは、我が子を守るために戦っていたということになるの。



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