第一三八回 エンゼルボール。
――今、目前にある土星のような球体に、そう名付けられた。
地上では、そのニュースで揺れている。情報はデマも併せて世間に、瞬く間に流布していた。地獄絵を見る程に、人々はパニックに陥っている。僕らも、その様をモニターで見る運びとなった。……時間だけが過ぎる。なす術はないのかと……
その時だ。見知らぬ飛行物体が猛スピードで接近する。近づいてくる、僕らの前、そして対峙するアンさんが搭乗している
『私はあなたのことを人として、絶対に許しません』と、言いながらも。
――シャルロットさん?
『シャーロックスターシャ……あなたなら我が母の思想を、誤ることなく理解することができるでしょ? 地球を支配している人類どもに、我がセゾン王国が滅ぼされたこと。なのに、何事もなかったかのように……環境汚染を繰り返し、その結果がこの天変地異。悪化する温暖化、そのため、私たちは住む場所を奪われた。細やかな幸せを壊されたの。何のために戦ってるの? いっそのこと、全部消滅することが新たな道になるのよ』
……そう、アンさんはシャルロットさんのお母さんなの……
『……そう。わかったわ。
私のお母さんはもう、死んじゃったの。私もまた、あなたの娘ではなくなった』
モニターには映らないけど、明らかに泣き声だった。……深い悲しみの奥にある、憎しみにも似たる怒り。ヒシヒシと伝わって、恐怖を感じる程だった。あの温和なシャルロットさんが、涙を流すほど本気で怒ったのだ。……『私はあなたのしようすることを、あなたを殺してでも止めてみせる。その覚悟が私にはある』と、自問自答の如く今一度。
――そして、
『
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