第一三七回 事態は宇宙規模。


 ――今まさに、そうなりそうなの。引き寄せられているのだ。



 その土星のような球体には、武器とかの装備はないけれど、引力が存在している。宇宙から引き寄せているのだ。巨大な隕石……もし衝突したなら、どうなると思う?


 木端微塵……


 この世界に終わりが訪れる。つまりは、この土星のような球体こそが、その巨大隕石の到着地点なのだ。その中身を分析するなら、核兵器の千倍の威力を持つという。


 旧号きゅうごうは黙ったまま……ならば、誰がそれに気付いたのか? 実は、しょうさんだったの。いつの日に聞いた大局。このことだったのだ。……気付いた時には、もう、


 カウントダウンは、始まっていた。


 巨大隕石は、予想からすればもう、あと一時間で到達する。食い止める術を思うのならば、急がば回れだ。この土星のような球体は、何処から現れ、何を目的とするのか?


 まず、それを知る必要がある……いいや、知りたいのだ。


 何が目的? 誰が何の為に?


 ――それは、すべてを消滅させるため。


 無に還るために、仕組んだこと。そう考えるのは、もう一人のあなた。


 環境汚染のために凶暴化した、あなたたちの、人類に対しての復讐劇。命懸けの復讐を成し遂げるため。そして戦いを、人に悪の命がある限り戦いは終わらないから。ここで消滅させるの。――そう脳に直接語り掛けながら、天から『血の薔薇ブラディー・ローズ』が舞い降りた。


 雲の上から……鮮やかなる赤い機体。


 搭乗しているのは、紛れもなくアンさん。――あの日の言葉の実現のために。そして声となって響く……『やはりあなただったんだね、アンさん。……この手段の他に、方法は見つからなかったの?』と、翔さんは問う、質問する。切羽はもう詰まっている。


『それは、あなたが一番わかってるはずよ、翔……』


 その悲痛な言葉がこだまする、皮肉にも和やかに、青く広がるこの大空に……



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