第一三四回 その出陣の先は。


 ――つまりは、この先に待ち構えているもの。


 或いは、これから起こり得る……まだ漠然としている何か。



 詳細は特になし……

 というよりも、詳細を得ることが難しい相手だったようだ。


 その確認のために、僕らは向かっているわけだ。今、朝の光を浴びながら飛んでいるのは二号機と三号機……僕としょうさんだけではないの。皆が集う。五機のマシーンが群れを成している。そう……『抜け駆けはなしよ、お二人さん』と可奈かなが、『野暮だったら、ごめんだけどね』と千佳ちかが、其々に声を掛けてくれるのだ。そしてそして……


『というわけで梨花りかお姉、翔さんも、

 俺たち六人揃って一つのチームなんだ。皆で力を合わせるんだ』


 と、太郎たろう君は言うと同時に、僕らを諭す。そして『六人』と言ってくれたことに、太郎君の心の温かさ、優しさを感じる。六人の中には旧号きゅうごうも含まれる。旧号は、見た目は永遠の十五歳の少年。縁のある写真で拝見したとおりの容姿の通りで、旧一もとかずおじちゃんを再現したアンドロイドで人間ではないけれど、太郎君は人として見ている……


 そして接しているの。搭乗するマシーンの中で、


 同じ一号機の機内で、一人のチームメイトとしてチームのリーダーとして見ている。


 僕も同じ思い。特に身内だから、千佳にとっても可奈にとっても。僕らのお母さんのお兄さんだから、そして何やら、翔さんとも繋がりがあるそうなの。それに関しては、今のところは、この先で待ち構えている敵の正体よりも、もっと深い謎で……


 いやいや、思考したところで、この先に行くしかないのは火を見るより明らかで、とにかく向かう。翔さんのように迷うよりも前進するしかないようだ。


『そうだぞ梨花、結局は辿り着いてみな解らないってことだ。そこで何が起ころうとも迷うなよ。やった後悔とやらなかった後悔……お前なら、わかるよな』


 と、翔さんが言ったまさにその直後、ついに遂に辿り着いたのだ。



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