第二十七章 ――激情。
第一三一回 暗闇の向こう側。
――夜の海は暗闇一色で、まるでブラックホールの様、吸い込まれそうな感じだ。
だからこそ手を取り合う、無意識のうちに……
「言っとくけどな、俺は百合に興味はないぞ」と、颯爽たる反応とコメント。お察しの通り今もまだ此処にいる、二人で二人きりで。舞台は暗闇に覆われる海、夜釣りというシチュエーションを継続している。僕のすぐそばには、
……翔さんにはきっと、その先が見えているのかもしれないの。確かに、翔さんの視力は二・〇を超えているの。動体視力も、もしかしたら超人レベル? 人間を越えて……
「って、おいおい、それは飛躍しすぎだろ?
何ら変わりないの、俺は……シャガイかもしれないけど、普通の人間。別に超人でも何でもないの。それよりも、ずば抜けてるのはお前の方だろ、
「へっ?
何でそうなるのかな? 僕は別に、何の取柄もない……」
「あるじゃないか。俺が弟子になれるほどの、大いなる取柄が。お前にはモデラーという誰にも負けない大いなる取柄。……とっても羨ましいんだ、お前が。俺にないものを沢山持っていて……なっ、俺は誇りに思うんだ。お前と一緒にいた、この時間たちを……」
その瞬間、僕は聞き間違いをしたのかと思った。
翔さんの語尾にある言葉。……きっとそう。聞き間違いと思った。思うことに……
「何々? 翔さんがしおらしくなったら、ろくなことないから。
これからも一緒に決まってるじゃない。それとも何? ドラマチックに浸りたいの」
少し沈黙……
「……ごめん、茶化すつもりはなかった。全然なかった」
「わかってる。この話は、まだ早すぎたよな? まだ何も進展してないんだから……」
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