第一二七回 唯只管に一直線。


 ――それが香車の特徴。だからこそ我らは強者になってゆく。



 今がまさにその時!


 白雪しらゆきの白い装甲が赤くなった機体……『血の薔薇ブラディー・ローズ』と、そう名付ける。武器は悪魔を思わせるフォーク型の長い槍から、薙刀に代わり、とても長いの。颯爽たる猛攻、直線状の攻撃が特徴……と、なると、やはり動きが香車。やっぱり強者。するとすると、横から見るしょうさんは……笑みを浮かべている? まるで、何かに閃いたように。



 そう。閃きは突然!


 それは恋心にも似たような感覚、きっとそう。手にしたものは突然、天空からスピーディーに現れた長い銛。その長さは匹敵する、血の薔薇が手にしている薙刀と。


 そこから予想できる戦闘パターンは、あくまで真っ向勝負。直線的な戦いだ。その動きこそが示す香車。勝負は一瞬で決まる。――そう、誰もが予想していたと思う。



 そして舞い上がる雄叫び!


 それは、翔さんの雄叫び! 走り出す、銛を構えて。七十二メートルの巨体が、大地を揺るがしながら走るのだ。すると相手も……血の薔薇も走る、薙刀を構えつつ。


 その様は、鮮やかなる午後三時のお空の下。清々しい風の中で、


 エンペラーと血の薔薇は、一騎打ちに転じていた。まさに『一触即発』という表現でも間違いないだろうと思える。草木は靡く、その刹那に両者の動きは止まったの。


 ……刺さって貫通している腹部を。


 エンペラーの銛が、血の薔薇の腹部を貫通していたのだ。そして血の薔薇の薙刀は、エンペラーの腹部を掠めていたが……致命的ではなかったの。



 ――勝負あった! そう確信する次第。そして翔さんは降りる、エンペラーを。



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