第一二五回 葛城翔の語らい。


 ――それからそれから、お話は続くの。まだまだ、まだまだ続いてゆくの。



 しょうさんの一人称は、まだ……


 エンペラーの内部に於いても、まだ続くのだ。彼女がどの様なことを考え、どの様な思いで戦っていたのか……その脳内を駆け巡る生の声を、今明らかにしようと試みた。



 俺は、明日に向かう!


 来る夢、来る人のために、もう一歩も退かないとの決心。少し未来で作るであろう俺のラーメン。食べてくれる人たちのために、その笑顔を守るためにも、俺は戦うのだ。


 今この時、目の当たりにする敵は、


 ――またも白雪しらゆき? いや、全身が赤くなっている。西洋の騎士をイメージしたフォルムは白雪と同じだけど、カラーリングが異なる。赤とピンクに覆われ、鋭いモノアイ。


 身長は七十二メートル。気付けば、エンペラーも少しばかり拡大しているようだ。

 身長は七十二メートル。気付けば、五十七メートルから少々拡大しているようだ。


 目の当たりにする敵と、同じ身長。つまりはそうだ。そして思い出した、咄嗟に。アンさんの特徴というべき過去における異名。それは『血の薔薇ブラディー・ローズ』と、そう呼ばれ恐れられていたことを……思えば、お母さんとは良き強敵でありながらも、良き親友だそうだ。


 俺らチームセゾンは、元々は一つ。ボヘミアン組合は、まだ誕生していなかった。


 実は俺たち、全員が、シャガイということになる……


 環境汚染により凶暴化した者も沢山いた。そしてお母さんも、凶暴化したうちの一人となった。ちょうどその頃、このパラレルな世界が時空の乱れにより現実の世界へと、乱入してしまったのだ。……するとどうなるのか? 現実とパラレルの区別がつかず、それだけでは済まず、最悪の場合は現実の世界が崩壊してしまうのだ。ロボット同士の戦いに巻き込まれ、そこで発するオーラによって破壊されるのだ。日常も住み慣れた町も、何もかもを呑み込みながら。――だから、終わらせたい。俺たちの戦いを。

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