第一二三回 未来に向かう時。


 ――食すラーメン。そんな中で弾む会話。されどアクリルで囲まれる中だけれど。



 僕の新たなる一面は主犯者であるが故の黒幕……


「嬢ちゃん、見かけによらず肝が据わっとるの」と、言われる始末。店主というか……ええっと、「会田あいださんだよ。梨花りか千佳ちかだから言うけど、将来は俺とお父さんの師匠になる人なんだ。戦いが終わったならな、ラーメン道を究めると、お父さんと決めたんだ」


 ……そして一面といえば今、


 しょうさんに新たなる一面を見た。その夢を語る時の翔さんは、とてもいい顔をしていた。


「じゃあ、約束だよ。

 僕らが常連さんになるから、オリジナルメニューを開発してね。どの店にもない究極のラーメン。それから……ランバルさんだけじゃなく、お母さんも一緒じゃなきゃ承知しないんだから。絶対、絶対に叶えなきゃ承知しないんだから……」


 何でこうなったの? って思えるほど、涙が零れてきちゃったの。翔さんは僕の顔を覗き込んで「わかってる、梨花の言いたいことは」と、そう言ったの。



 ――明るい陽が差し込む店内。


 この御堂筋にもレインボーブリッジが創られるほどの、輝ける未来。始めた会った頃の翔さんよりも、今の翔さんは、棘がなくなった代わりに、明るい未来の色を纏っている。


 そう思った時だ。


 出撃命令が下ったのだ、僕のスマホ越しに。


 店を出る僕らに、会田さんは「翔ちゃんに何が起きてるのかは、詳しくはわからないけど、また来るんだぞ。いつでも待ってるから。嬢ちゃんたちも一緒にな」と、……意味深にも取れる餞別のお言葉を頂戴した。その思いは、必ずここへまた来るとの決心をヒシヒシと感じさせながら、「おう、当た某よ」と一言、翔さんは笑顔で応えた。


 そして僕らは行く。――激闘の世界へと躍り出るそのために。



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