第一一八回 二次元の嘘の件。


 ――その謎に迫るのだ。実は環境汚染による化学反応。その過程を経て、シャガイは十メートル級の巨人となったのを覚えているだろうか?



 環境汚染の背景には、過去の研究で明かされなかった事実が隠されている。……高度成長期に遡る工場から排出される黒い煙。川に流れる薬品……例えばそれが百本の川とするなら海に繋がる。海にはシャガイが生息していた。いいや、とある国を形成していた。


 そこに住む生物を、人はマーメードと呼ぶ。


 或いは海底人、また或いは半魚人とも呼ぶ。それがシャガイだった。元々は人と見かけは変わらないそうだ。静かに眠る海の底で、平和な国を築き上げていたのだ。


 ……それなのに、

 川に流れる薬品……当時のロボット工学で工場から流れた廃液によって、それが食物連鎖の過程で新型ともなるウイルスを発生させたと、そう考えられる。光が届くほどに澄んでいた海面は、その色を変えながら、どす黒く澱んでいった。


 ウイルスにより感染が広がる。


 今現在、僕たちがそうであるように、シャガイも同じなの。……いいや、地上にいる人類がシャガイの平和な国を滅ぼしたのも同然……でも、しょうさんもシャルロットさんも、とても優しい人々。本来なら、彼女たちから見れば僕らは許されざる敵となるけれど、友好の絆で手を取り合っている。本当に純粋な人達なのだ。



 これより先は、僕らだ。


 エンペラーは翔さんの心に同調して進化をしてゆくけど、それはきっと、翔さんの本当の心なのではないのだろうか。だとしたら、海のように心の大きい人のようだ。


 執筆が原動力なら日々のエッセイを駆使して、もっと世界へ配信しなければと、そう思うの。平和を愛する心を流布してゆく。そして誰もが笑顔になれる明日を、


 ――僕らは、愛と真心で紡いでゆくのだから。それが僕と千佳ちかの約束となる。



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