第一〇九回 レッツ、メイク。


 ――その対象も、バンプラなの。



 説明書を読み終えると、読み終えるとだね……何故か徐に、手に取るの。Xマスのサンタさんからのプレゼント。それはデラックス超合金。昭和を象徴する合体ロボット。


「ふ~ん、梨花りかは立体模型が大好きなんだな」


「ま、まあ……」


 ある意味、玩具も大好き。合体や変形は女の子でもロマンだから。なので、しょうさんが取り出した合体ロボット。僕もパパも直撃世代ではないのだけど……ユーチューブでは何度かお目にかかっている。旧一もとかずおじちゃんの世代が、きっと直撃世代と思われる。学校の筆箱だって仕掛けや、ちょっとした変形ができるものが流行っていたそうだから。



 このロボットも、超電磁がエネルギー。


 五体が合体する辺り……「もしかしてオマージュかな? エンペラーの」と、翔さんは声にした。形はまあ、エンペラーの方が人間のフォルムに近い。合体といっても二次元の嘘が満載な設定だ。特徴とすればムニュッという表現がピッタリな感じ。語彙力も奪われるような合体なの。玩具の方が合体プロセスに無理はなく、差し替えなしの合体が楽しめる。それ以前に僕は、変形合体が大好きなの。翔さんも同じように思える……


 玩具の合体ロボットの名は『コンバイン・ファイブ』


 ユーチューブでしっかりレビューされているから、その通りに変形と合体すれば、効率よく合体できる。一号機は頭部で二号機は腕と胸。三号機は唯一の陸戦で胴体。四号機は両脚。五号機は両足となる。しかも音声やBGMまで流れるという凝ったもの。


 ――掛け声。僕らも必要と思う。


 今のところはなし。無言で合体しているの。


 旧号きゅうごうを中心とした六人の心がマッチした時、急に合体プロセスに入る。気が付けばエンペラーの胸の内に、六人が集っている。合体という意識も希薄なままで。


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