第一〇八回 そして無我夢中。
――その対象は、バンプラ。
それはそれは僕でも初めての光景で、こんなにも熱心にバンプラを見る子は初めて。思えば翔さんの集中力は、僕の知っている面々でもトップを飾るほど、あの
「
つまり積みプラのことだ。まだ着手しないで積んであるバンプラを指している。流石鋭いということだろうか、観察力も半端ないのだ。いつの間に? と思えるほどに、
「……もう僕のお部屋にあるものを把握したってことだよね。あるよ、積みプラ」
今ある積みプラは五箱……
ネオン公国の水泳部が三体と、高機動のドウム。そして摂と一緒に組もうと思っていたパーフェクトなニューネオング。……これはもしかすると、三人になるかも? 少しばかり企むのだ。コンテストのこと。ニューネオングで勝負を賭けようと思ったのだ。
「やろっ、翔さん。まだお時間ある?」
「おお、そう来なくっちゃ。何をやる? 何を作る?」
と、ユサユサと、僕の両肩を持って。「ちょ、ちょっと、首とれちゃうからっ」
「あっ、ごめんごめん」
「そんなに急かなくてもバンプラは逃げないし、一緒に作るから。……でも、とっても気長で時間のかかる作業なの、僕と一緒にやると。それでもいいんだね?」
「お、おう。女に二言はねえ、やってやるさ」
……クスッと笑えるほど、翔さんが可愛く思えた。とても無邪気な人だと知る。積みプラから選ぶ。まずは……これ。水泳部の三体のうち一体。見せるその箱。翔さんは箱を開けるなり説明書を見る。僕はササッとだけど、翔さんはじっくりと丁寧に読んでいる。
そして言うの。……「これって、この間のクマのピーさんによく似た奴だなあ」と。
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