第一〇七回 風のような回転。


 ――その前に回転。まだベーゴマでの勝負が済んでいなかった。



 そういえば、ふと思うの。……って、何でこんな時に思ったのだろう? 勝負というなら、サイコロでもできるの。だからといって、別に丁か半の博打ではない。言いたかったのは双六。または人生ゲームでも。人生ゲームなら千佳ちかも参加できるし……


 と、思うことは色々あるけれど、今は勝負の時! あくまでベーゴマだ!


 場所は、お家の前。お祖母ちゃんの目の当たりで、対峙する僕としょうさん。ちょっとした広場だ。喩えるなら、某国民的アニメのジャイアントとノビノビが遊んでいた広場と酷似しているの。切り株、木の年輪に沿って投げる投ずるベーゴマ。タイミングはというと呼吸ピッタリ。綺麗に横並びで回転しているの、規則正しく……



「ムムム、これじゃ勝負にならないなあ」と、翔さんが言うから、


「そうね、ぶつからないよね、これ……」と、僕は言う。「あらあら、仲のいいことね」と、お祖母ちゃんも言う程だから、ずっと横並びで回転し続けるパターン。弾き飛ばされることはないと誰もが確信。ここにいる三人とも。でも、このことが後に……


 戦闘で大いな助けになるとは、思ってなかった。


 新技に繋がるとは……なので、お正月の遊びには様々な、アイディアが隠されているように思える。それは僕らがまだ知らない世界の中に、昭和チックな遊びの中に。


 そして再び、お家の中……


 今度は僕のお部屋だ。飾られているバンプラの数々……コレクション。目の当たりにする翔さん。どうやらバンプラを見るのは初めてのようで……


「すごいな、これ全部お前が……それにトロフィーもあるな」


「どうだ? これを見て誰が不器用だって? 優勝もしてチャンピオンなんだから」


「……おおっ、師匠と呼ばして。何か楽しそうだな、今度、俺にも教えろよ。一緒に組もうぜ、バンプラよ。……あ、宜しくお願いします、梨花りか先生」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る