第一〇〇回 一〇〇の記念日。


 ――この日が一〇〇日目のエッセイの日。ちょうどXマスのイブの日だ。



 崩壊と蘇生の両方を兼ね備えた戦いも終わって、戦士も安らぎの刻を迎える。それはもう燃ゆる夕陽からの少しばかりの時過ぎて……正直に言うなら、強烈な記憶を残したままの現実の世界。今、僕らがいるこの世界こそが、日常の世界……


 イブの夜は、旧一もとかずおじちゃんの誕生日。崩壊しても、その志は生死をも超えて一点を貫いた。執筆への思い。伝えたいメッセージが蘇生を生んだの……


 千佳ちかは、それを受け継いだ。そして手を繋いで太郎たろう君と今宵一緒に、雪のシャンデリアに包まれながら……その背中を見送る僕。「行っておいで」と笑顔を交えながらも。


 Xマスという特別な日。針が重なっても解けない魔法……

 そして、やっぱり、消えない切なさ……


梨花りか、泣くなよ。……まあ、太郎のカッコよさは格別だから無理もないけど、なっ、元気出せよ。あのさ、それでな、俺とちょっとばかり付き合えよ。一杯やろうぜ」


 と、しょうさんの息遣いを感じた。まさに今、背後にいるのだ。


「別に、泣いてなんかないよ。千佳は妹だし、太郎君は弟みたいなものだから。二人が付き合ってもう長いし、今更……って、翔さん、もしかして翔さんこそ泣いてるの?」


 ……まさかとは思うけど、


「見るなっ、振り向くな、もう少しだけそのままでいてくれ」


「図星なの? ……まあ、太郎君のカッコよさは格別だから、仕方ないよね?」


「茶化すなよ、これでも俺……」


「わかってる。実は僕も同じ気持ちだったから……やろう、僕らだけの女子会。それから言っとくけど、アルコールは駄目だからね。僕らは未成年だし、乾杯ならジュース」


「そんなのわかってる……って、あ、そうか。『一杯やろうぜ』は、断然ジュースのつもりだったんだけどな。未成年はともかく俺は、成人になってもお酒は飲めないから」


 そこから始まる、翔さんとのもう少し掘り下げた二人の……暴露話。

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