第二十章 ――蘇生。

第九十六回 超時空を体感し。


 ――それは波にのまれ溺れるように、肉体を越えて魂の、イメージの世界へと。



 渦の中へ。

 嵐のような時空の中へと、その身を委ねるの。


 まるでスープのように溶け込むほど、原型は崩れて……何が起きたの? と、思う間も与えられずに、時の流れでさえも、あらゆる固定観念をも、すべてが無に還る。


 ただ、イメージ……


梨花りか、しっかりイメージして。千佳ちかを蘇らせることができるかもしれないから……

 いや、してみせる。してみせるから信じるんだ。僕を信じるんだ、梨花』


 遠くから……でもハッキリと聞こえる旧号きゅうごうの言葉。

 僕の脳に流れ込むその言葉は、僕を確信させるには充分な覚悟……旧号の覚悟。


 その言葉通りに僕は、しっかりとイメージをする。まずは千佳だ。そこから始まると確信できるの。ママのお腹の中で、また胎児から始まる時間の流れ……僕と一緒に千佳もまた生まれる。また双子から、シスターズから始まる。そして他の場所でも、歴史は繰り返すようにもう一度……蘇生のための時間が、急速に流れてゆく。心の奥底、或いは記憶の奥底に潜っている約束。大願を誓って、また皆が集えるようにと……だからなの、


 それはもう遠い日に、

 僕らは今世の生を自覚するもっと前から、その大願を約束していた。


 僕らが時空の波を越えて、また出会えるようにと旧号は、時間の流れをコントロールしているの。リスクは大きい。僕では考えられない程に。どのようにするのかも理解はできないのかもしれないけれど、旧号も命を懸けているの、それは旧一おじちゃんの意思。


 そして今はまだ幼い姿だけど、記憶は残っているみたいで、


「梨花ごめんね、僕のせいで……」


「それは言いっこなしだよ、僕が千佳を追い詰めたから……

 頼りないお姉ちゃんでごめんね、これからは一緒だから、一緒だからね……」



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