第九十四回 目前の巨大な敵。


 ――それはこの間の、ロック・ガイと同じ機体。もしかしたら量産型だったかも。



 その趣は、クマのピーさん。とても可愛らしいのだけど、六十メートル程もある。体型は丸くて巨漢だ。右腕はアイアンクローを装備。左腕にはミサイルポットを装備だ。


 それが三体も、列をなして歩んでくる。

 外観は可愛くとも、死神の列……僕らは迎撃することとなる。


 何故に迎撃するのか? それはきっと、僕ら以上に太郎たろう君が思っていることだろう。この度が初めての……初陣の戦い、太郎君にとって。それでも敵は、そんなの関係なしに攻撃してくる。僕らが場数を踏んでいる分、敵もまた、それ以上に場数を踏んでいる。


 しかも旧号きゅうごうの乗る一号機に、太郎君は同乗。旧号もまた容赦なく……

 な、何と、太郎君に操縦桿を預けているの。なら、操縦の仕方は? 戦い方も含めて攻撃の仕方も。体で覚えてもらおうと、旧号の思い。そこで合体となるの。


 超電磁による合体……


 マニュアルなんてなく、この度が初めての、お目にかけようとなるの。合体の中心となるもの。それこそが今、太郎君が乗っている機体。旧号と一緒に搭乗で、


 合体の手解きを覚えるこの体で……旧号はギリギリまで、太郎君はそのプレッシャーと戦うこととなる。そしてついにこの時、合体の時を迎える。それはまた旧号が、太郎君にその時を告げたのだろう。響く掛け声――超電磁合体! 五体のメカが一つになる時だ。


 旧号と太郎君が搭乗する一号機は、頭部……ジェット機のような形状の一号機と、鷹のような形状の二号機が合体する。しょうさんが操縦する機体は二号機。主に両腕となる。これで頭部と両腕。続く三号機は僕、イルカのような形状が胴体となるの。多分、五機の中では一番大きいのかも。続いては四号機、千佳ちかの操縦するパンサー。戦車形状の機体が右脚となる。見た目はグッと変わり、しなやかな脚。そして五号機のタイガーも、戦車形状から左脚となる。可奈かなが操縦する機体で……


 コクピットは移動し、五人……いや、六人が集う。四季折々のエンペラーの胸部へと。



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