第十九章 ――千佳。

第九十一回 地上にあるもの。


 ――海の中から地上へ。野生の……正確にはビースト化した千佳ちかの操縦する四号機。



 またはパンサーと名もあり、僕の操縦する三号機を引き上げたの、地上へ……


 そして間を置かず迫るロック・ガイ。アイアンクローの右腕を失っても、攻撃を仕掛けてくる。不気味にも、モノアイをピンクに光らせながら……見れば見るほどクマさんに似ている。黄色のカラーリング、思わずピーさんと名付けたくなった。


 ぬいぐるみなら可愛いのだけれど、プラモデルなら喜んで作るのだけれど……

 今は戦いの刻、敵は襲ってくるものだ。


 攻撃は最大の防御である故に、青白く輝くしょうさんが搭乗している二号機は、まるで火の鳥ならぬ、光の鳥……音速ともいえる速度で、そのまま体当たりするの。


 アイアンホークと名付けられた、その技は……


 真っ二つ! ロック・ガイの胴体を切り裂いた結果だ。その直後に一声放射、旧号の一号機を始めとした各号機。思いを一つにして……異体でも同心、同じ志。


 その中に於いて、爆発するロック・ガイ。

 操縦者の無事は確認できている。脱出するその様の、目撃は済ませているから。


 そして、旧号きゅうごうの言う通りだった。


 ――合体なしでも勝てた。それは何故か? 五人の心が、一つになったからだ。


 それこそが、きっと……


 旧号の言いたかったこと。いや、旧一もとかずおじちゃんが用意したメッセージだった。如何なる場合も、力を合わせるのなら乗り越えられることを。喩え合体できずも、異体なる五人でも、志が一つになるのならば、合体したのと匹敵する力を発揮するの。


 青白く輝く翔さんの機体が何よりの証拠だ。五人の同じ志に共鳴した結果。翔さんが身体を担当している理由はそこにある。青白き光は、その元は、翔さんのオーラ―の輝きなの。合体したならば、四季折々のエンペラーと翔さんは合身しているの。翔さんの神経がエンペラーと一体化している。そのようなイメージ。ここから、謎に迫るの……



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