第九十回 颯爽たる合わせ技。


 ――つまりは五つのメカの合わせ技。それは、必然的にも合体を意味している。



 目の当たりには全長五十メートル以上はあると思われる、モノアイの……ガッチリした体格の巨大ロボット。でも、何となくだけれど……クマさんに似ていて可愛いの。


 しかしながら鋭い爪、アイアンクローで襲い掛かってくる。狙うは、僕が操縦する三号機。五つのメカの中では、三号機が唯一の水中用。潜水はお手の物だけど、敵もまた水中戦は得意なよう。追いかけてくる、早くもピンチだけれど、まだ合体はなしなの。



 ――どうして? と思いながらも、敵に攻撃を試みる。


 使う武器は魚雷。発射すると、敵……『ロック・ガイ』と、仮に名付けた機体も魚雷を発射してきた。魚雷と魚雷は激突し、相殺する……三発と三発が激突した結果だ。


 するとモニターに、千佳の顔が映って、


梨花りか、地上に引き摺り出して。一斉攻撃するから』と、言ってくるのだけれど、無理無理無理……「こちらの状況解ってる? 必死なの、その場凌ぎで精一杯」と、文句も込みで言ったら、途切れたの、通信……まさかの、千佳ちか、怒っちゃったの? それとも、切れちゃった? どちらにしても、良い結果とは懸け離れて、海の藻屑と成し得るのか?


 ネガティブの果て……


 襲い掛かるアイアンクロー。機体に刺さり貫通と思いきや……それと酷似した衝撃とともに、金色の光は、そのアイアンクローの右腕を切り落とし、発砲したの、キャノン砲から。ロック・ガイの胸元でそれは破裂し、その隙にもの凄い速度で引き上げられる。その金色の光の中には、戦車のパンサーから野生のパンサーにトランスフォームしたと思われる四号機……の姿があって『地上に上がったら一斉攻撃だよ、梨花』と、モニターには再びの千佳。再びの通信に、込み上がる感情は勢いを奮い起こした。するとモニターには千佳の隣に旧号きゅうごうも映し出され……『梨花、合体なしでも勝てる相手だ』と言うの……


 自信に満ち溢れている、その表情。僕も釣られて、その勝利を確信するに至った。

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