第八十九回 その分解の機能。


 ――五分割。つまりは五つのメカに分かれたのだ。陸空海の其々の役割を担いながら。



 まずは空……


 大空羽搏く鷹のように、しょうさんが操縦する二号機。そして旧号きゅうごうも空を飛ぶ。ジェット機のような趣の乗り物……飛ぶだけに頭部へとトランスフォーメーションする。総括らしくも一号機となる。アニメでも、合体ロボットの一号機は、リーダーの場合が殆どだから。


 そして海……


 大海駆けるドルフィンのように、梨花りかが担当する三号機。しなやかな胴体部分となる。


 時折はマーメードの形態になる。その美しさとは裏腹に、その攻撃は野性味に溢れている。あらゆるものを食い千切る顎。そして切り裂く鋭い爪。五台の中でも心臓部となる。


 お次は陸……


 大地を駆けるパンサー。戦車も掛け合わしている趣の四号機。操縦者は千佳ちか。分離形状の重厚感あふれる見た目とは裏腹に、しなやかな脚部となるの。戦車といっても、千佳は車を運転できない……そもそも免許を取得する年齢には達していないの。よく考えたら誰も、旧号の場合は特殊だけど、車の免許を取得できる年齢には達していない。強いていうなら、翔さんがバイクの免許を取れる程度。思えば皆、十五歳と十六歳の少女だ。


 普通なら、戦える年齢ではないの……


 けれどね、可奈かなは言うの。「操縦桿……握った時から、もう年齢は関係ないの」


 それはある意味、僕らは、僕らの決められた宿命なのかもしれない。……ならば、宿命を使命に変えるのなら、僕らは決して、運命には左右されないブレない一本道だ。


 その思いを胸に、可奈は操縦桿を握ってタイガーを走らせる。これもまた戦車を掛け合わした趣で五号機となる。千佳の四号機と同じく脚部となるの。そして、まっしぐらに進みゆくの。悪に向かって……そこには、必ずと言っても過言ではないほど、巨大な敵がたちはだかるの。今回もまたそのようで、迎撃命令が発動された。


 迎える敵は、もはや五十メートル以上は普通にある巨大ロボットだった。



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