第八十七回 その役割と衝撃。


 ――それは、旧号きゅうごうの役割。



 四季折々の全体を示しているのだ。五人の特性を活かすことが、旧号の役割。つまりは総括ともいえる役割なのだ。キッカー君が、彼に頼んだそうだ……


梨花りかのこと頼む」と。


 その場面と偶々、目の当たりにした僕は、熱気が込み上がる顔で、


「違うから。僕たち、そんな関係じゃないから」


 と、言うも、その時に一緒にいたしょうさんがね、「ふ~ん、怪しいなあ」


 って言うから千佳ちかまで「梨花、そういう時は、素直が一番だよ」と、クスクスと笑いも漏らしながら言うの。だから「はいはい、そこまで。出発するよ」と、締め括った。



 ここからが、真剣そのもの。


 テスト運転、四季折々のエンペラー。新たなる五人のメンバーで……その役割で。


 キッカー君は腕を組み、研究所から僕らを見守る。それはまたランバルさんも同じ。娘を見守る役割に徹した。マシューさんとオルティアさんは量産型で僕らを援護する。


 量産型は二体。僕がこの物語の冒頭で用いていた全長八・二二メートルの機体だ。その名は同じく『四季折々』……但し、操縦方法は異なるの。僕のように執筆で動作するのではなく、操縦桿で動く。風力がエネルギーとなる。その風力によるエネルギーは、旧号にも用いられている。実は、旧号にはチート能力が備わっているの、密かに……


 聞いたお話によると、もちろん立ち聞きで、千佳と一緒に。それはそれは関係者である千佳にも内緒にしていたお話のようで……北川きたがわ博士が、シャルロットさんとせつに、


 ――旧号は風を受けるとパワーアップするの。


 つまりは変身を遂げるそうだ。そのジャンプ力は二十五メートルで、両腕の上腕は飛び出す仕掛けとなっている。つまりはロケットのように発射するパンチ。耳は一キロ先まで聞こえて、目からレーザービームを放つ。……しかしながら、その射程は五十メートル。



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