第十八章 ――旧号。

第八十六回 それは謎の機体。


 ――或いは旧一もとかずおじちゃんのニックネーム。それ故に、誕生したアンドロイド。



 北川きたがわ博士と千佳ちかの……謎のプロジェクトにより完成に至った。この日、寒波を迎える中で永遠の十五歳、その姿のまま、旧一おじちゃんは蘇ったのだ。この時の僕は千佳と、完全なる一体感を得たのだけれど、僕が旧一おじちゃんの姿を目の当たりにしたのは、初めてのこと。現実の世界に於いて、写真でしか見たことがなかった。


 誰かは区別がつくのだけど……


 千佳のように、幽霊という形で見たこともなければ、言葉を交わすこともなかった。まして声も……聞いたことがないの。千佳が言うには、声変わり前の可愛らしい少年の声らしいの。特徴としては、お坊ちゃんという感じ。思えば千佳だけでなく僕も、同じ十五歳になっていた。旧一おじちゃんと同い年に……


 並んで歩くこと、研究所の廊下。


 旧一おじちゃんと瓜二つのアンドロイドは、旧号きゅうごうと名付けられたの。その由来は、北川博士が学校の先生だった頃、その生徒だった旧一おじちゃんに名付けたニックネームから……が殆どだったけど、チームセゾンのアンドロイド第一号という意味も兼ねていた。


 身長は……僕よりも少し高い。


 それに綺麗な面……甘いマスクとでもいうのだろうか、中性的な感じなの。


 そしてこの度、千佳とともに正式に、チームセゾンの新メンバーとして加入した。それは願いを叶えるために。千佳とともに、僕らと一緒に四季折々に乗り込むの。四季折々は今、エンペラーと名乗っている。前回の戦闘時でビースト化したのだけれど、今はもう元の姿に戻っている。少女のようにスマートなエンペラーに。身長は五十七メートルをキープし……五人乗りの状態を維持している。乗組員は変更となる。僕としょうさんと可奈かなは同じくそのままで、千佳と旧号が加わったの。千佳は僕と同じ役割、脳内部を担当する。四季折々の動力源は、やはり執筆。ここからは、二人がコラボした執筆になるの。翔さんは動力部、四季折々の身体を担当。可奈は予想し制御も兼ねて、そして旧号は……



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