第八十五回 喩えると母と娘。
――だからだと思えるの、僕には
千佳が千佳になる前の記憶……
思えば僕も、同じ処にいた。お母さんのお腹の中に。きっと同じものを見て、同じことを感じていた。このパラレルな世界でも、僕は僕のリアル、千佳は千佳のリアルのまま。
何一つ違いはない。……ただ、僕らは並行する二つの世界を行き来しているようなの。
この世界……つまりリアルな世界と並行するパラレルな世界は、
無意識に、いつの間にか訪れているの。初めは、いきなり海の中で……ロボットの操縦をしていて、シャガイと戦闘を繰り広げていたの。その模様を戦いながらも、執筆するようなシステムになっていた。誰が教えたわけではないと、思うのだけれど……
もしかしたら千佳が、
そっと僕の歩む物語に、シナリオを添えていたのかも。
そして並行とは言っても、必ずしも二つの世界の、時の流れは同じではないの。
リアルでは令和という年号だけれども、ここの世界では、何処となく昭和の面影が満載なの。僕らのおじちゃん世代、或いはお母さんが、昔見た世界を再現しているの。
千佳が創り上げたこの世界、かつておじちゃんが……
それが具体化したのが、この世界。どうやら旧一おじちゃんの思いと千佳の思いが共鳴しあって、このパラレルな世界が誕生した。……そう、千佳が説明してくれたの。
本当はというと、旧一おじちゃんが説明したかったことなのだろうけれど、もうお亡くなりになっているの、千佳が……千佳と僕が生まれる遥か前に。昭和の頃に……
永遠の十五歳となって、千佳とは何回も会っているそうだから。因みに、千佳しか見えないの、旧一おじちゃん。だからこそ僕は、千佳の願いを一緒に叶えたい。そう強く思えるようになったの。これから成すべき進路が見えてきたから。千佳と一緒に……
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