第八十三回 尋問、謎に迫る。
――戦いが終わってから、研究所に帰ってから。僕の目の当たりには、
そして皆の目の当たりにも千佳がいる。見た目は千佳そのもの。僕の見た目をそのまま再現している。……というよりも、持って生まれた見た目だから。つまり双子。
その仕草も、癖に至るまで……
やはり千佳本人と思っても間違いはなし。偽物説は消えた。なぜなら、僕と千佳は一卵性双生児。僕らにしか解らない、シンクロのようなものを感じるからだ。双子特有のシンクロ。僕にしか解らないけれど、僕だから解ること。そして、何よりも正確だ。
千佳は今、取調室。そこは侵入者を、捕まえた時の取調室。
まだ疑いは晴れていないのだ。千佳が……その取りつかれたような瞳の奥にあるものこそは、本当に千佳なのかと。だから質問は、僕が担当することに……
机を中心に向かい合わせ。ダムが決壊したように、とめどなく質問。
「君は、本当に千佳?」
「諄いな、僕が本人でなければ、どうなの? 僕は僕、千佳そのもの、あなたの双子の妹です。それ以上でもそれ以下でもないの。それでも疑うのなら見て見る? このお洋服の奥にあるもの。あなたと一緒にお風呂で、何度も洗いっこした妹の裸なんだから」
と、千佳とは思えないような発言だけど……
「じゃあ、質問を変える。千佳はいつから……
チームセゾンの一員になったの? いつから……活動していたの?」
千佳は、フッと深く息を吐いて、静かに語り始めるの。ざわめきを破る静寂のよう。それはそれは取調室という、この空間の特徴を、最大限にまで活かした緊張感……
「
梨花が執筆するこの世界はね、僕が創り上げた世界でもあるの。僕が梨花にプレゼントした、パラレルワールドだから。初めにお話したよね? この世界は、僕が梨花にプロヂュースしたものと。梨花が物語の終わりまで執筆できるか、僕が監視してるの」
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