第八十二回 新たなメンバー。


 ――それは、突然現れたの。ミサイルのように、或いは分身のように。



 見た目も僕そのもの。コクピットの隅から、それも右からやってきた。マシューさんの背後辺りに潜んでいた。マシューさんは驚いたようなの……「梨花りかさんがもう一人?」


 でも、しょうさんや可奈かな、それにキッカー君は、そんなにって感じで……


 結局、僕の言葉で締め括られるの。「こら、千佳ちか」という具合に……

「いつからいたの?」と、この際だから問い詰める。「……さっきから。それでほら」


 千佳の傍には、オルティアさんがいた。……とはいっても、僕は初対面で誰か判らなかったけど、マシューさんのお陰で、その人がオルティアさんということが判ったの。


「それにしても千佳、どうやってオルティアさんを連れてきたんだ?」

 と、激戦中の一番大変な時に、必死な表情ながらも翔さんは訊いた。


「もちろん基地に忍び込んで。そして誰にも気付かれずにここまで……オルティアさんと一緒に来たの。とはいっても、オルティアさんのお陰かな、梨花たちと合流できたの」


「千佳、お前は何者?」と、翔さんが問う刹那、


「翔さん、戦いに集中、梨花も。僕の動きに合わせて」と言いつつ、マシューさんから操縦桿を奪った。そして千佳が……千佳でないような、何かが乗り移ったかのように、目がもう尋常ではないの。まるで天使の中に住む悪魔が、降臨したように……


 そしてその攻撃は、……残酷なもの。


 ビースト化したエンペラーは、超電磁を全身に纏って、雷を放った。ミラクルな薔薇は両腕を吹き飛ばされ、その直後に放った長い腕を活かしたパンチは腹部を貫通し、そのままメキメキと、異音を立てながら胴体を引き千切られた。地面に転がるミラクルな薔薇の両腕のない上半身。上半身のない下半身は、ガクッと膝から崩れて……大破した。


 そして迎える新メンバー。


 僕の一番身近にいたのだ。しかも極秘裏に、活動していたそうだ。シャルロットさんと同じ……Gメン的な役割を担っていたから。もしかしたら、一番に謎の多い人物。



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