第七十九回 ギラリと光る目。


 ――鋭い眼光。


 ジプシーの異名のモノアイをシャープにした感じ、そして異様に赤を強調している。空港を思わせるボヘミアン組合の基地の奥深くへ進むと、潜んでいた。或いは、待ち伏せていたのか? 藪からステックのように、刀のような? ……いや、薙刀。が、いきなり飛び出してきた。回避する間もなく貫通。……腹部を貫いていたの。


 コクピットは? しょうさんは無事?


 と、前にも似たようなことはあったのだけど、それもまた心配ご無用だ。


 エンペラーのコクピットは、その巨体故に胸部に集合している。この度から、いつの間にか変わっていたのだ。五人が並んで座っている、二次元の嘘を絡ませながら。



 胸部といえば、ちょうど心臓にあたる位置。

 エンペラーとの一体感を思わせる位置でもあり、固い絆をも感じる場所なの。


 すぐさま薙刀は抜かれる、腹部から……


 次なる展開? 緊張は走る。攻撃の前には、相手の機体をよく観察。……色は赤。よく見ればピンクが主のようで、全長は、このエンペラーと匹敵する。驚きだ。そのような表情をした翔さん。……いや、本当に驚いていたの。「まさか、ボヘミアン組合に、こんな巨大な機体があったなんて。……いや、まさか完成してたのか? ジプシーの異名の後継機……ミラクルな薔薇。しかも両脚も付いてパーフェクト版が……」


 その様子からして、戦慄とも思える程の強さ。

 エンペラーでも油断を許さない状況とも、そう感じさせる。


 しかしながら、僕は手を動かす。感覚や肌で感じることを、そのままを執筆。野生の本能ともいえる文面。僕は綴る。エンペラーの原動力ともいえる超電磁を、発動させるためにも。そして翔さんとの心のふれあい。共鳴するために……


 あの時のように発動する、

 翔さんの覚醒。新タイプともいえる、その戦闘スタイルに。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る