第七十八回 某基地の奥深く。


 ――それは、ボヘミアン組合の基地。或いはアジトでもある場所へと歩む。



 と、いうことは地上……


 海底でもなく、天空でもない。ちゃんとした地上なのだ。まるで空港を思わせるような構造。見事なるカモフラージュ。見た目には、とても基地とは思えないほど。


 でも、エンペラーが地に足を着けた途端……


 歓迎したのは、まず戦車のようなロボットたち。或いはスパイダーとでもいうのだろうか? そのようなロボットも混在していた。そこにあるものは、いきなりの発砲。空砲ではなく、もちろんの実弾。……エンペラーに直撃する。何十発、何百発をも。


 でも、無傷……

 着弾し、破裂する火薬も何のその。


 ただ歩く……その、五十七メートルの巨体は、重厚感を増すのだ。


 まるで虫けらを踏み潰すように、戦車のようなロボットたちを踏み潰す。……そして僕は思うの。「……人、乗ってないよね?」と、声に漏れるほど、瞬間血の気が引く。


梨花りか、その調子だ。エンペラーに敵なしだ。

 そのロボットたちは、リモートコントロールだから心配ない。迷わず進むべしだ」


 と、しょうさんはコメントした。


 その言葉に調子を合わせて、――心配ないからね。と、いつか聴いた歌も道連れに、ひたすら踏み潰しながら進むの。着弾があっても相手にはしていない。エンペラーにとっては無意味の攻撃だから。それと同じく僕らは、エンペラーの恐るべき強さを知った。


 装甲の強さは、

 これまでの四季折々の比ではない。


 そしてモノアイといわれる目の数も五つある。まだまだ計り知れないエンペラーの性能とやら……それを目の当たりにした時、この基地は、もしかしたら壊滅するかもしれないような、そんな気がするの。搭乗している感覚はね、どことなく恐ろしく思えるの。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る