第十五章 ――迎撃。

第七十一回 エンペラーの魂。


 ――または、その風格ともいえる堂々たる煌めき。背中に光の翼が広がった。



 取り込む機体……


 変形するモー・ニカと、ジプシーの異名。それはまさに、海の化身と空の化身がコラボする瞬間。モー・ニカがボート形態ならば、ジプシーの異名は飛行形態。それらを受け入れる、母体ともなる機体が、進化を続ける四季折々。そして合体と成す。


 その結果が、まさに巨体を生んだ。



 身長は、対抗する五十七メートル。体重は、内緒としてもらいたいの。操縦者のメインが女の子なもので……なら、男性陣もいるってこと。乗組員は五人なの。


 各部位の担当は自ずと決まる。説明不要な設定だ。


 脳内部は梨花りか、つまり僕。胴体部はしょうさん。引き続き一番のメインだ。


 予測部は可奈かな。同じく引き続きなの。敵の動きを察知したり、情報を共有する大切な役割だ。――そこに新たな力が加わった。モー・ニカが合体したことにより、キッカー君は総括部となる。皆の力を纏める役割で、つまりは制御する縁の下の力持ちってわけ。


 そしてジプシーの異名が合体……


 この部分が謎なの。この機体といえば、かつて翔さんが操縦していたもので、もう廃棄されたものだけど……『蘇ったのよ、あなたたちの、この日のために』と、言うの。


 誰?


 見渡すと、モニターにはシャルロットさん。


『暫くだけど、私が代理して操縦するわ……』


 確かにそう言ったの。……代理とは? 誰の代理? と、言葉のその奥で繰り返される声にならない質問。だけれど今は、目の前の敵だ。迎え撃つしかないの。


 聳える敵、大いなるイーサムも、今は同じ。僕らの機体も同じ巨体だ。


 エンペラーの風格を持つ四季折々と、今この時に進化を迎えた。第三成長期なの。



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