第七十回 進化を続ける機体。


 ――とめどなくも、学習帳に綴るように日々の鍛錬のように。



 その集大成……いや、まだその過程に過ぎない今の姿。最終フォームの予想もできないまま、あくまで今は中間形態。合体ロボットだったはずの四季折々は、今はもう完全なる一体化。二号機に、……じんわり溶け込んだ一号機。分離はもう不可となる。


 でも、後悔はなし。


 初めはバラバラだった三人が、一つに纏まった証なのだ。


 どのようなスポーツチームよりも、最高級のチームワーク。時には衝突もし、喧嘩もするけど、絆は強靭なもの。絶対的な信頼が、ここにはある。


 思えば、僕も……


 しょうさんと出会えたことが、僕を変える一環となったのは、確かなの。僕とは真逆と言っても過言ではない環境の違い。そして性格……でも、共通点は多いのかもしれない。



 ある時、千佳ちかは言っていた。


梨花りか、今一番生き生きしてるね」と……


 一番身近にいる千佳でさえ、翔さんと僕の距離感が近いと言っていた。可奈かなと千佳……この二人よりも、もっと短い付き合いなのに、何故か最も距離感が近い。これで翔さんが昔、ボッチということが信じられない程。ムードメーカーにさえなれる存在だから。


 その思いを秘めながら、


 僕は執筆する。四季折々の動力のために、或いは、モチベーションの役割も兼ね……だとするなら、まだ必殺の技は続く。僕もともに翔さんとシンクロする。可奈もまた。


 目の前にはまだ……


 もう一体の五十七メートルの巨体がある。光は止まない。翔さんの潜在能力で発動する変化。――そう。まだ変化は続いているの。巨大な敵を撃つための変化。そのために四季折々は引力を発動させる。そして招かれる、モー・ニカと、あのジプシーの異名も。

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