第六十八回 巨大な敵を撃つ。


 ――目の当たりにしたものは、あまりにも巨大だった。



 それでも迎え撃つ!


 対峙する、五十七メートルもある巨大ロボットを。それも、二体……


 四季折々の全長の約三倍。要塞に下半身が付いており、脚部だけでも聳え立つように見える巨体。戦慄を覚えながらも……どのように攻撃するのか、考えるの。


 四季折々の脳は、僕の役割。執筆をしながらも、


 イメージを描く。弾くキーボードが勝利を奏でるイメージを。その間に受ける攻撃、お腹を貫いた。巨大な足の爪が、四季折々のお腹に、深く刺さったの……悲鳴もなくて、その位置はコクピット。……信じ難い出来事だけれど、或いは、その出来事が嘘だと思いたいのだけれど、現実は何で? こうもあっさりしょうさんが……


 まさかと思いながらも……


「冗談だよね? 翔さん? 黙ってないで何か返事して?」


 お腹からは、緑の液体……

 それが、四季折々の血の色だから……


 僕は悟った。「……死んじゃった、翔さん」と。涙が溢れてくるの。お腹に刺さったままの、巨大な敵の足の爪をそのままに……ミシッと、機体から異音が響く。可奈かなは「何してるの? このままじゃ四季折々は真っ二つよ」と、僕に言うが……言ったように聞こえたけど、もう僕の耳には入ってこない。――すると、「勝手に殺してんじゃねえよ」


 と、聞こえたのだ。勿論その声は、僕のよく知っている人。まさか……と、繰り返しながらも「翔さん?」「当たり前だろ、誰が死んだんだよ? 誰が?」と、やはり翔さんの声。……でもその巨体『大いなるイーサム』という、要塞ロボットの足の爪は、四季折々の腹部を確実に捉えているのだけど、ちょうどそこは、翔さんのコクピットの位置だけれども……「まあ、間一髪だったけどな。ちょっと窮屈だけど、俺は何ともなく、まだ全然戦えるから、ここから反撃だぞ、梨花りか」と、翔さんはいつも通りの口調だった。



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