第五十四回 そして戦う舞台。


 ――それは、大空にあった。


 四季折々も進化を重ねて、もう普通に羽搏けるようになっていた。



 それに身長も。合体時における身長は、一九八二センチメートル……資料によると、何故かセンチメートル表記。その姿は、まるで天使のような趣だった。


 大空へ羽搏けるようにと、

 願いを込めて、ここまで進化を遂げた。今はアーマーに身を包んでいる。所謂装甲の鎧だ。色は紺色で、これから始まる冬の寒さを越せるように、防寒具の役割も兼ねている。


 なので重量も重くなったけど、そこはジェットエンジンで補っている。お空を飛べるということが必須条件だから。ジプシーの異名に習っての進化だから。


「……ということは、俺に合わせてくれたのか?」


「ええ、そのとおりよ。実は言うと、胴体の操縦がメインのしょうさんに合わせたの。梨花りかには執筆に専念して貰いたかったから。この機体のモチベーション……とってもデリケートな役割。翔さんが体なら、梨花は心。二人のバランスが大きく影響するから」


「じゃあ可奈かなは、何の役割?」


「よくぞ聞いてくれました! って感じかな、梨花。私の役割はコントロール。この機体自体の。所謂この機体の行動隊長ってことになるかな、行動予測も兼ねてね」


 ……すると、

 フムフムという趣で、キッカー君は、


「なるほどね。君達の機体は三人のチームワークが要な、デリケートな機体ってわけ。ならば僕の機体は旧式だけど、優秀だな。一人乗りだから、僕の意のままに動くんだよ。それに僕があまりにも優秀だから、君たち三人の能力を兼ねているってわけだ」


 ……と。はあ? 何々? 自画自賛? これから大いなる戦闘が始まるかもって時に?


 色んな意味で呆れていると、翔さんが「何気取ってやがる? お前の機体、自力で空飛べないじゃないか。足手纏いでしかないし、出直した方がいいんじゃないのか?」と。



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