第十一章 ――必殺。

第五十一回 だとすれば、技。


 ――気配を感じさせず、ここに侵入したその術。


 見知らぬ男性がいたの。背の高い肩幅のガッチリした男性。特徴的なピンクのスー

ツ。



 研究所の中でも、ここは医務室。病院並みの設備がある。でも、治癒用のカプセルがあるということは、それ以上に最新技術を駆使している、近未来なイメージということだ。


 そして。その男性は近づいてくる。


 誰か知り合いでも? 白昼堂々と、潜入したの? ランバルさんのように?


 誰一人として警戒する様子はないのだけど? どうしてなの? と、その様になす術もなくヤキモキしていると、せつが……語ってくれるの、――彼のことを。


「キッカー・コージ君。国防調査の一員。私達のスポンサーにあたる大組織。彼が、あなたたちのことを助けてくれたの。これから協力してくれる大いなる力だから」


 しかしながら、距離を取るの。

 足を止めて、僕らとの距離を。


「ここから失礼、レディ。あまり近づくと、君のナイスバディが光を放つからね」


 ……って、それって、ササッと体を捩った。僕はまだ、カプセルの中で上半身を起こして裸のままだった。ちょっと顔も熱くなってきた。それにしても気障な人だ。


「僕は国防調査の第一係、『モー・ニカ』のパイロットのキッカー・コージ。宜しく。君達の噂はよく拝聴してるよ。是非、協力させて頂きたく、ここを訪れたというわけだ」


 怪しいといえば、怪しいのだけど……


 少なくとも僕のタイプじゃないし、僕が百合でなくても、苦手なタイプだから。


「ありがとうございます。この度は、僕らのこと助けて頂きまして。こんな格好で恐縮ですけど。完治いたしましたら、この御礼はさせて頂きますので」


 それでも、助けて頂いたのは事実だし、一応は御礼も言葉にしなければ。


「いやいや、魅力的だよ君は。ボクッ娘、とてもいいね、お目にかかれて光栄だ。君達とは上手くやっていけそうだし、また眠っている二人にも、宜しく言っておいてね」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る