第四十九回 必殺の旋律には。


 ――益々意味不明だ。僕の執筆。読み返してみると、例えるなら前回の終わりの方。



『タワーが輝く坂をも超えて、上空……まだ数えるには充分な日々。免許のために赤くもキラキラキラキラ……とても懐かしく、お星様のように煌びやかで』


 ……なのだけれど、僕は何を思って打ち込んだのか? この文章。


「疲れてるんだよ、梨花りかは。

 連日、俺に付き合って……付き合ってくれて。思えば、ついこの間までは平凡な女子中学生だったもんな。俺って、俺基準で物事考えるから、お前の気持ちを置き去りにしてたんだな。きつかったよな、梨花も可奈かなも……ありがとな」


 ……って、それって、


「何々? 急にしおらしくならないでよ、しょうさんらしくない。……何だか、ダメだよ、そんなの。お別れみたいで……縁起悪いよ。いつもみたく偉そうなこと言ってくれないと調子狂うでしょ。自己中でKYじゃない翔さんなんか、翔さんじゃないんだから」


 ちょっと、泣きそうになった。


「おいおい、何泣いてんだ?」


「泣いてない! 泣くわけないじゃない、プラネタリウム行くんだから、ねっ、可奈」


「わ、わっ、急に振らないでよ、梨花。……あんたたちの掛け合い、もっと聞きたかったのに、面白いから。まったく梨花は……都合が悪くなるとすぐこちらに振るんだから」


 と、その時だ。

 キラッと天空が光った。


 それは赤い閃光。――直撃だった。それが何かわからないまま、機体の自由は奪われ、


 舞い散ったのだ。蝋の羽根ではない四季折々の白い翼。……それはシャガイの真の姿を示すもの。天使の証なの。それが一瞬にして舞い散った。回りながらの墜落……


 翼以外にも、機体の損傷は激しく、そのまま海へ。水飛沫を立てながら、まるで火柱のように。そこまでは覚えているの。そこまではまだ、朦朧としながらもモニターを見て。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る