第四十八回 呼ばれた先には。


 ――学園では職員室だったけど、それと同じくらいに重みのある指令室。



 僕としょうさんは横に並ぶ。対するは、仁王立ちのシャルロットさんと瑞希みずき先生。その空気は重厚感に溢れて……そして手渡される『必勝』の白い鉢巻。それは翔さんへ。


「何だい、これは?」


「開始は明日から。私と一緒に強化合宿。期間は一週間」


「強化合宿? この間の、ジプシーの異名に対する特訓か? やるからにはやるけど」


「スクランブルになったらね。でも違うの、あなたにやってほしいのはお勉強。編入試験に対するお勉強。そのために、私はあなたと行動をともにするの。日々野ひびの家で」



 日々野家といえば、大富豪のお家。つまりせつのお家だ。シャルロットさんは、わけあって、そこに居候している。理由の一つは、学園に留学してきたから。今もまだお勉強の最中。カキカキと、鉛筆で問題に答える。でも、せっかくだから、


「シャルロットさん、教えてくれ。試験勉強だけじゃないんだろ?」


「ええ。そのつもり。共同生活のイロハも。

 私もあなたと同じ。だからその第一歩を、私と一緒に踏み出そうと、そう……」


 その時だ。

 赤い回転灯が示した。出撃の挨拶だから。



 ――お話は、また後でするから、今は安全第一で無事に帰ってくるのよ。と、そう言ったのだ、翔さんに。そして出るのだ、ここ指令室を。雄々しく、白い翼を広げて。


 羽搏くのだ、少し未来に向かって。


 タワーが輝く坂をも超えて、上空……まだ数えるには充分な日々。免許のために赤くもキラキラキラキラ……とても懐かしく、お星様のように煌びやかで、


梨花りか、プラネタリウムってやつに行こうな。この戦い終わったら」と、翔は言った。



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