第四十二回 向かう先は舞台。


 ――そう。舞台はシャルロットさんの御国。彼女が生まれ育った場所だ。



 今は海を渡るのだけど、その昔は陸地で繋がっていたそうだ。僕らの祖先のまだ祖先が平和に暮らしていた頃は。……その頃のまま、何も起きなければ戦争はなかったの。


 きっと、言葉も共通なもの。


 壁のないコミュニケーションが図れたはずだった。


 ムーと呼ばれる大陸。そうシャルロットさんは言っていた。そしてシャルロットさんの御国の名前も『ムー』と、そう言っていた。……そこからは、多くは語らなかった。



 シャルロットさんは、その御国のプリンセス。……なら、


 しょうさんも、もしかしたらプリンセスになるのかも? 少なくとも宮廷での暮らし。そう思っていると、「それは違うよ、梨花りか。……私たちも普通の家。普通の市民と変わらない暮らし。……それを目指しているの、ボヘミアン組合から解放された暁にはね……」


 そう、毅然と言った、シャルロットさんは。


 ――その時だ。大きく揺れたセゾン号。警報音も高らかと響く。


 何が起こったのか? 魚雷が激突したのだ、船底に……。目指すは潜水艦のような素早い動きだったのに、船底からは海水が流れ込み、颯爽たる沈没の危機。そこで取った行動は遮断……フランスパンのような船底を遮断したのだ。海水侵入を防ぐために。


 遮断に使用したものはシャッター。そしてエンジンを切り替えつつも、乗組員の中でもエンジニアと呼ばれる者は、可奈かなと一緒に修理を試みる。しかし容赦なく敵は、


 ――襲い掛かってくる。ミサイル攻撃も一緒に。


 飛び交うジプシーの異名。三機が空中から、飛行形状で攻撃してくる。そこにシャガイはおらず、明らかに僕らを攻撃してきている。その戦いを防ぐ手段はまだなく、警報が響く、真っ赤に染め上げた。「出撃せよ!」との命令が下る。颯爽ともう、先の戦闘から合体した姿を維持している四季折々は、この大空を羽搏いた。迎える空中戦……



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