第九章 ――宿命。

第四十一回 羽搏ける使命へ。


 ――そして今、大きく翼を広げて再び羽搏く四季折々。冴えわたる月を背景に。



 飛び立つ時、その宿命は使命へと、少しずつだけど変わり始めた。その胸に秘めた思いは、今再びの熱を帯びて、これからの物語に挑んでゆく勇気を沸々と……



 新たなる糸口を見出したしょうさん。とてもいい顔になっていた。


 それを導き出したのは……実は、シャルロットさんのフルネーム。二人の出会いは運命的な出会いと言っても過言ではなく、二人の繋がりを示したの。シャルロットのお母さんは……アンと呼ばれていた。そして翔さんのお母さんとは、実は姉妹の関係にあった。


 その国の、王家に纏わる二人。


 でも、ボヘミアン組合の植民地と化した国……だからこそ、出生の秘密が誕生した。引き裂かれた姉妹。王家に残ったシャルロットさん側と、ボヘミアン組合に捕らわれた翔さん側。……なら、多くは語らなかったけれど、シャルロットさんが守りたかったのは、翔さんだったのだ。でも、翔さんはその事実を知らずに、今まで……


 それでもシャルロットさんの、

 宿命は終わらない……翔さんに、お母さんを会わせるその日まで。そしてまた国の自由を勝ち取るまで、二人の戦いは続くことを共感し、成し遂げると約束もした。


 これをもって、

 セゾンの物語に対する航路が決まったのだ。


 そしてこの日より、僕らの新たなる章が始まるのだ。それを期して、この海を渡る研究所に『セゾン号』と、名前が付いた。――碇も上げた。航海は本格的に始まる。リアルな世界と時間の波はズレるけれど、それをも覚悟の航海。……意を決するが故に後悔なし。


 乗組員は全員で十五名。


 であるならば、このセゾン号にも秘密が隠されているのだ。きっと大きな仕掛けが用意されているに違いないと思われるから。――それを見た時、この戦いの終結を意味する。



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