第四十回 正体が明かされる。


 ――それは事情と重なったの。プリンセスの名のもとに。



 シャルロットさんは、やはり只者ではなかった。一国のプリンセスだったのだ。地球儀を回しても百周したとしても、掲載されない程の小さな国だけど、列記とした国。


 かつての……

 汚染される前のシャガイが住んでいたとされる国。


 だけど今は、ボヘミアン組合の植民地と化されている。捕らわれの国民を救うためだったから……シャルロットさんは、僕らセゾンの一員に成りすましスパイとなった。



 でも、その涙が物語ったの。


 そんなシャルロットさんに、


「……辛かっただろう」と、しょうさんは声を掛けて、泣き崩れたの、シャルロットさん。


「察するよ、その気持ち。ここの皆は優しすぎるもんな、戦闘に向かないくらい。奴らみたいに戦いに勝つためなら、平気で仲間を見捨てられる連中だったら楽だったのにな」


 その言葉に、誰も……

 何も言えなくなったの。だから翔さんは言うの。きっと皆同じ思いだ。


「俺は、あんたのこと、お姉ちゃんみたいに思えてな。初めて会った時、俺のことを思って叱ってくれた。……だから悪い人じゃないんだ。良かったら俺たちと、一緒にいてほしいんだ。少なくとも俺に的確な指示を与えられるのは、あんたしかいないんだ……な」


 ……そう。翔さんの言う通りだ。

 少なくとも僕にはそう思えたの。


 ――そうね。と、せつの声が響く。


「シャルロット、あなたに対する処分だけど、

 ……Uターン禁止の刑。罰として、ずっとここにいなさい。そして、あなたが相談したいその時は、私たちは、いつも協力してあげるんだから」と……言い放ったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る