第三十八回 そして謎に挑む。


 ――しょうさんの、お母さんについてだ。



 葛城かつらぎ孝美たかみ。かつてのエースパイロット。そして今は……きっと生きている。それだけなの、手掛かりは。他の情報も求めるけど、翔さんは、それ以上は語らなかったの。


 ただ……


 翔さんが、お母さんと会いたいと思っているのは確かだ。寧ろ捜しているから、彼女は操縦者の道を選んだ。お母さんの手懸りでもある『ボヘミアン』を求めて。それが何を意味するのか? 例えば組織……それとも機体? ジプシーの異名の意味は、


 ――ボヘミアンとなるのだ。


 そして言い伝えられる機体の配色も青と黄色に合わせて、機体番号も17と表示。何もかも、お母さんを意識したものだった。……思えば、その機体を破壊したのは僕だ。


 それ以前に、シャガイに大破まで追い込まれて、


 そこから先は、僕がスクラップにした。僕の手で、爆破スイッチを押した。……何故そこまでしたのか、それは今もわからない。ただ、翔さんに戦ってほしくなかったの。


 でも、


 ……翔さんにも理由があったの。多くは語らない大切な理由が。僕は、それを邪魔してしまった。その罪滅ぼしがしたいから、僕もまた腹を決めるのだ。


 共戦の道へと。


 何と戦うのか? 始めはシャガイだった。……でも、今は救済する側となった。しかし今もまだ、シャガイと戦う組織があったの。その組織からシャガイを守るために、その組織と戦うこととなった僕ら。その組織こそがボヘミアン組合……


 翔さんが、かつて所属していた組織。


 でももっと、身近に。身近にいることが明らかとなるの。それは僕らセゾンの中に。縁深き出会いはもう、すでに起きていたのだ。それはシャルロットさん。……彼女には大いなる謎が秘められていた。それはもう、彼女は何者? というレベルだから。



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