第三十七回 三つの目で見る。


 ――合体した四季折々は、三つの目。


 それは、もちろん頭部に。三つの目をもって敵の動きを捉えるの。



 今は注射器も、ガトリング砲へと装備も変わっている。相手のミサイルに対抗しての装備と、そう解釈してほしい。ガトリング砲はアタッチメントにより取り付け可能だ。


 右の下腕部がガトリング砲……

 刀の鞘のように、拳のついた右の下腕部は脱着可能。実は追加された装備なのだ。


 火を噴き、今の敵となったジプシーの異名の顔面は、跡形もなく吹き飛んだ。……とはいっても、破壊したものはメインカメラの部分。


 かつてはしょうさん自身が動かしていた機体。それと同様な量産機が三体、目の当たりにしている。……ということは、中には人が? つまり操縦者が。


 翔さんにとっては、仲間といえる人たちが。……でも躊躇なく放つ、発砲する。翔さんは言う「そんなのいねえよ。戦いはいつだって孤独なものさ……」と。


 しかし、その台詞は嘘まみれと、

 翔さんの声の色が、そう物語っているの。



 本当は、心優しい人なの。翔さんは……


 きっと、誰よりも孤独が苦手で、熱いハートを抱いている。撃沈した三機のジプシーの異名は、三機とも頭部が粉砕されていて、右腕もない状態……でも、中の操縦者は全員無事。三機が三機とも宣言した通りに、機体のみが動かない状態にしたのだ。


 そして飛び立つ僕らの機体、

 ――四季折々。白い翼を羽搏かせ、大空へと自由に舞いゆく。


 これからはシャガイだけではなく、僕らと敵対したジプシーの異名……ボヘミアン組合との戦いが始まってしまった。かつては翔さんも、その中の一員だったと告げるのだ。


 僕らの組織は、セゾン。翔さんもセゾンの一員と、なってゆくのだ……



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