第三十五回 三位一体となる。


 ――僕は、初めて知った。二号機の隠された仕掛けを。


 いや、新たなる仕掛けなのだ。実は……二号機は二人乗りも可能だった。



 そこで可奈かなは言う……


「何のための二つ目だと思ってるの? 最初から、二人乗りになる予定だったの」


 一号機は、一つ目。……モノアイのようなイメージだ。しかしながら、ちゃんと眼球となっている。その見たものがモニターに映し出されるというもの。


 ならば二号機は二つの目。合体したのなら三つ目となるから、三人の予定となる。そうであるなら四季折々は、初めからパイロットが三人の設定だった。



「そう、それこそが四季折々の本当の姿。三位一体が基本なのだ。昔から伝えられる合体ロボットの醍醐味はそこにある。パイロットも基本に帰ったの。三人のスタイルも忠実に再現したつもり。梨花りかは情熱家で、私はクールなエンジニアで、しょうさんは、どっこい力持ちだから」……と、可奈はここぞとばかり述べる述べる、語る語るで……って、


 思わず、プッと笑えてきた。


「ちょっと可奈、それって某アニメの合体ロボットの定番じゃない。それにキャラも強引に当て嵌めちゃって。翔さんが『どっこい力持ち』? イメージと違うんだけど」


「悪かったな、イメージと違って」


「わわっ、翔さん。縁の下の力持ちって、僕は言いたかったの。色々教えてね、先輩」


「ったく、調子がいいんだから梨花は。まあ、教えてやるから、颯爽と合体しようぜ」


 ――僕を、名前で呼んでくれた。


 今日が初めてのことだ。さっき一回と、今ので二回。三回となると合体だ。凸凹を嚙合わせるのだ。ギアーが編み合うように、三人が三位一体となるその瞬間を迎えた。


 その姿も、パワーアップしているように思えるの。襲い掛かる飛行形態の『ジプシーの異名』の攻撃をかわしながら、僕らも攻撃する。「見とけよ、梨花」と、勇ましくも。

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