第三十四回 解き放つ力と技。


 ――それは思考のその裏にある思考。



 突発的な出撃となった。その内容は、今までとは異なっている。シャガイが……暴れているわけではなく、シャガイが攻撃されている。そこはもう街中。人々の暮らしが脅かされている。ならば敵は? 三機の飛行機……いや、飛行形態の可変式のロボットだ。



「……ジプシーの異名? 何でここに? 色も違う……」と、零れた言葉。有り得ない光景なのだ、兎も角。しょうさんが乗っていた機体とは異なる色……迷彩色。明らかにシャガイを襲っている。一方的に、五体くらいのシャガイにミサイルを撃ちまくっているの。


 海の方向へと逃げるシャガイを追い回し、撃ちまくるミサイル……


 着弾と飛び散る体液……それはシャガイの血。一体、また一体と倒れるシャガイ。息絶えてゆく。寄り添う僕、四季折々の一号機。「なんてことするの?」と怒声も共に。


 ――割って入る。


 飛行形状の三機と、シャガイの間に。それでも尚、操縦桿は執筆。


 執筆こそが、この四季折々を動かす原動力。言葉としては「やめなさい! シャガイが何をしたっていうの?」と言い放つ。スピーカー越しだから、声は届いているはず。


 ――守る。


 シャガイの前に立ち、この身をもって立ち塞がる。それでも容赦なく、三体の飛行形状の『ジプシーの異名』は、攻撃してくる。僕が搭乗するこの四季折々の一号機に、ミサイルを放ってくる。するとヒットし、破裂するミサイル。一号機は後方へ吹き飛んだ。


「アホかお前! そんなこと聞く連中じゃないだろうが」


 モニターには、翔さんの顔が映る。その横には可奈かなも。そして翔さんは更に……


「俺たちが行くまで、攻撃を回避しながら持ち堪えてろ。

 いいか、半人前のくせに一人で何とかしようとか考えるなよ。俺たちが一体となって初めて一人前だからな。梨花りか、教えてやるよ。俺がお前の先輩としてな」



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