第三十二回 秘密さえも解放。
――その時、来たるなのか?
以前に語り掛けた、
――そう。今後のためにも、明らかにする必要があった。そして僕らも、戦うための集団ではないということも……なぜ、戦うことになったのか? ということも含めてだ。
翔さんは、シャガイ……
そのことは、過去の研究結果で明らかとなっている。しかし見た目も、普通の人間とは何処も変わる所はなし。実はそれもそのはずだったの。海の深い場所に生息するシャガイは、汚染により、その姿が変わったもの……つまりは、深海に逃れられるよう、化学反応とともに進化を遂げた姿なのだ。白銀の素肌も、平均十メートルの巨体も……
なら、僕ら人間も、
シャガイになる可能性があるとも考えられる。身体の七十パーセントが水という人類という部分も、母なる海という部分も、同じ路線を歩んでいるのだ。ただ、科学が発達する傍らでは公害も姿形を変えながらも、……現実に起こっているの。つまりは病。
シャガイの経緯を遡れば、その病から誕生したものだ。
それが証拠に、四季折々が装備しているワクチンで、シャガイは人の姿へと変化を遂げている。……つまり、それが本来の姿だったのだ。だけど、悲しいかな? 人は見た目で判断するの。例えば怪獣が現れたとすると、それを悪と決めつけてしまう……
どうして暴れるのか? その理由も理解も有耶無耶なうちに攻撃する。それ以前に人間同士でも差別があるから、戦争が起きているの。政府の中でも派閥争いがあるのは、その元をただせば、もっともっと昔から、歴史は繰り返されているの。……だからなの。
僕と翔さんが、
もっともシンクロを要する四季折々が、問題なく動いて、尚且つシャガイ救済に成功したならば、それが何よりの証拠となり得る事実。――覆すことができるの、その偏見を。
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