第七章 ――解放。
第三十一回 解き放つことだ。
――そう、それは解き放つこと。能力もそうだけど、何よりも募る想い。
恋人のことを想う心とよく似た、白色と青色の……そして薔薇色の間に。僕と
平和を願う心。
その想いを執筆に託す。それこそが、解き放つことだ。
そして翔さんの、心の中の燻る想いを解き放った姿が、
「俺に、教えてくれないか?」という言葉だった。――何を教えるのかは、訊かなかったの。心で汲み取ったから、その想い。そして答えるべく、僕は言う。言葉にして。
「いいよ」と、その一言を。
ありきたりな言葉だけど、それが一番にマッチしている。
「……でも、まずは
――僕が君に教えてあげられること。
でも僕は甘ちゃんだから……「僕以上に、翔さんに教えてもらうこと沢山だね」
「と、いうことはお前、
……俺と組んでくれるのか? 俺は、お前のように甘ちゃんにはなれないぞ?」
「だからなの。翔さんは厳しくも、
……とっても優しい人だから。僕よりも何十倍も、ううん、もっともっと……」
きっと、誰よりも優しい人なのだと思う。
そして、一番に平和を望む人とも思える。
その想いを、執筆に託す。四季折々の原動力は執筆なのだから。それ以上のもの。いずれは共存への道へ。……可奈は言う。「翔さん、私はいつでも交代できるからね」
こうして二号機に、翔さんが搭乗する日も、確実にカウントダウンに入ったの。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます