第三十回 瞬間、心合わせて。


 ――その目的は、注射することにあった。シャガイにワクチンを注入することだ。



 それこそが、この機体……合体して天使の趣となった『四季折々』の超必殺技だ。


 超必殺技なだけに、僕と可奈かなの呼吸が合わないと、実現しない技。そして想いを込めた執筆が届くようにと、その想いを可奈が繋いでくれるという信頼感。


 そのための合体だ。


 パワーアップするためには、心を強く持つことが試される。力ではないの。パワーでは合体してもシャガイには劣る。だけども、心だけは負けない。負けないことが力だ。


 本当の敵は、


 ……もしかしたら、自分の弱い心だと僕は思う。そう思えるようになった。勇気を持つことこそが最大の正義ともいえる。ならばまだ、僕らは本当の正義を知らなかった。


 敢えて言うのなら、


 ……まだその途上。正義になるために、戦っているの。



 そこで広がる世界観。今は目の当たりにいる二体のシャガイ。……縮小するの、人間サイズにまで。そして収容する、カプセルの中へと。人間サイズになってからも、二度目の摂取がある。その時は人間のサイズに合わしての、摂取だ。そうなればもう、シャガイは感染から解放される。人間と変わらないような生活へと、文学も学ぶことができる。


 戦いは、


 僕は戦わない。救護とならば全力を尽くす。僕の全力全開をお目にかける。


 帰る研究所の中で、声を掛けられた。患者着を身に纏っているしょうさん。……見ると、あれれ? と思うほどに、険しさが消えている。そして言うの、戦闘を終えた僕らに。


「俺に、教えてくれないか?」


 ――との一言。その言葉の向こうにあるものこそが答えとなる。


 そして思うの。彼女の横にいるシャルロットさん。その表情はきっと答えを……

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