第二十九回 煌めく夕映えに。


 ――警報音が、この潮の香りも、涙から醒める僅かな瞬間さえも支配した。



 シャガイが出現しただけではなく、暴れているのだ。現れたシャガイは二体。……見た感じシャガイ同士が喧嘩しているの。第八、第九の、地上に現れたシャガイだ。


 せつより、マイク越しに、

 ――スクランブル号令! 出撃! と命令が下る。



 起動……操縦桿でもある執筆を開始する僕。そして可奈かなが、コントロールする。物理的な動作へと組み込んでくれる。二人で一つのシステムとなる。そのことも踏まえ、


 昇降機によって、勢いよく飛び上がる。


 宙を舞う四季折々の、一号機と二号機。そして颯爽たる合体。お互いを信じ合うことによって、嚙合わせる凹凸。それが合体の、一番のポイントなの。そして通う血の流れ。二種類の鼓動はハーモニーを奏でる。心の豊かさは、勝利のスマイルへと結ぶのだ。


 舞台は、街……


 ここでは街を破壊する恐れがあるから、海岸へと誘導する。


 格好の獲物と化するも、誘き寄せるには最適な我が機体。シャガイ二体は、機体を囲んでくれた。鋭くも長い爪が襲い掛かる。シャガイの接近戦といえば、その長い爪。


 それらを躱すのも、今やもう上手になった。

 日々成長だ。執筆もまた、そうでありたい。



 場数を踏むたびに、経験を積む。いつしかもう、素人ではなくなってゆく。執筆こそが力なのであるならば、いつの日か、理解してくれると思うの。僕ら人類との、共同生活へとその道程も含めて。執筆は言葉となり、対話へと繋がってゆく。如何なる武器よりも最強と言われるだろう。――ペンは剣より強し。例外もなくその名言が煌めくのだ。


 そしてモニター通し、シャルロットさんと一緒にしょうさんも見ていることだろう。



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