第二十四回 白銀から白雪に。


 ――それはシャガイ。第四のシャガイの変化だ。


 全長十メートル強の凶暴な趣は、眠る少女へと姿を変えた。



 ……でも、その姿こそが、本来の姿なのだ。今はカプセルで眠っている。水槽の中で揺れる髪。黒い髪。艶やかなお肌。まるで白雪姫……和やかな顔をしている。


 その状況でも、研究は進められている。


 救うためには、もっと知らなければならない。シャガイという生命体や、どのような環境だったのか? 環境汚染で毒されたその過程。新薬もまだ開発中の身だ。


 けれども、確実に進んでいる。


 可奈かなの必死な研究により……シャガイに元の暮らしをプレゼントすると、心に決めたその日から。そこには大きく姉の存在がある。可奈のお姉ちゃんは、ここの研究員だった。



 そして、もう引退した。


 ……葛城かつらぎさんとの誤解が解けないまま。



 その誤解を解くためもあるの。……可奈の中では、それが一番なのかも。葛城さんが戦う理由。孤独になった今でも尚。……何故なのか? それは彼女自身が、


 ――シャガイだからだ。


 このカプセルの中で眠る少女と、同じ……あれ?


 シャガイは海底人。長時間での陸地生活は大丈夫なの? と、そう思った。それに対しても、可奈は語ってくれた。……全てではないけど、可奈の知っている限りは。


 葛城さんこそ、研究対象となった第一なのだ。でも、もうその身体はボロボロ。過酷な研究を繰り返された結果。そんな思いをもう、他のシャガイにさせたくないから、自分も含め殲滅することを心に決めたのだ。……わかってもらえるには過酷なことかもしれないけど、それは葛城さんの今後の行動から、シャガイを守ることとなるのは必至。



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