第二十三回 踏み込むペタル。


 ――息もピッタリに。するとスパークなだけに、サンダーボルトが発生した。



 つまり稲光に似たもの。……その予感通りに、シャガイに直撃した。頭の天辺から……


可奈かな、そんなものを直撃させたら、シャガイが……」


「心配ご無用。前みたいに黒く焦げることはないから。……そうね、麻酔みたいな役割かしら、消毒も施したいから。注射する時に暴れられるとね、非常に困るからね」


 との言葉通りに、シャガイは倒れた。

 甲板の上……気絶よりも優しい眠りの中へと誘って、それから消毒も施す。


「クリーン・サンシャイン」の掛け声とともに、光を放つ。日輪から降り注ぐライスシャワーのように、ビッグな消毒液ではなく、聖なる光を浴びせているのだ。……で、そこからの本番なの。右上腕部のビッグな注射器の、研ぎ澄まされた針をシャガイに刺すの。


 刺す個所は、主に腕。……注射器のシリンダーが白煙上げて動き、注入される液体。それはシャガイの体内へと……「レッツ・インサート!」との掛け声とともに。



 ……すると、颯爽たる変化が。


「可奈、何が起こってるの? シャガイが……」


「小さくなっていくでしょ。これが本来の、シャガイの姿だから」


 ……僕らと、あまり変わらない容姿?


 白銀の肌は、僕らと変わらない肌色へ。十メートルの身長も縮んで、僕らと変わらない身長に。それはそれは人類と、見た目……殆ど同じなの。


「私たちと、変わらないでしょ。それに険しい顔も、穏やかな顔……梨花りか、成功よ」


 と、可奈は言い放つ。


 だからこそ思うのだ。シャガイが本来の姿となって平和が訪れる日々……それはきっと罪滅ぼし。失われた命は取り返せないけど、ここからは誰人たりとも犠牲者は出さない。


 シャガイは海の深みに住む海底人。とある昔の隕石から、誕生した生物なの。



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