第二十回 我が身が必殺の技。


 ――そして束の間の、戦士の休息も終わりを迎えた。



 集うこの場、戦いの場。

 甲子園で奏でられる高校野球のような警報音が、集う合図だ。


 海の上、この研究所に我らありだ。気持ちの切り替え、戦いに挑む覚悟も、それさえも待たずに、シャガイはまた攻めてきた。海から飛び上がり甲板の上だ。


 虚位的な跳躍力。でも……


 僕らも負けない。機体専用の昇降機に機体を乗せる。そこから甲板を目指し、上ってゆく。効果音も奏でる程の速度で。その勢いを利用して、宙を舞う機体。



 二体……


 四季折々は二体になった。僕だけではなく、この度から可奈かなも一緒。


 通称で呼ぶなら『一号機』と『二号機』だ。そしてダン! と、効果音を響かせながらも、美しき着地。それとともに可奈から、


梨花りか、もっといいネーミングなかったの? 一号機と二号機なんて、そのまんまじゃないの。まったく、前から思ってたけど、ネーミングセンスないんだから……」


「これでいいの。シンプルイズベストだよ、可奈。あまり名前を変えちゃうと、読者様が混乱しちゃうからね、これで統一しようと思うの。僕の機体は赤とピンクの『四季折々の一号機』で、可奈の機体は緑と迷彩色の『四季折々の二号機』なんだからね」


 その色は、あくまで装甲の色。


 その下の、色は元々の肌の色。シャガイのサイボーグの姿だ。女性と男性。可奈の機体の方が大き目で男性の方。僕の機体は女性の方。


 目の当たりにするシャガイは、第四のシャガイ。僕はもう怯えることはなし。今もキーボードを弾いている、その執筆の力を信じているから。だから、泣きたい時もこのモニターの前。厳しい訓練で泣くこともあるけど、僕は絶対に己の正義を曲げないの。

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