第十八回 情熱の赤い薔薇と。


 ――ここからは、僕の心境が変わる。喩えるなら、赤い薔薇。



 身に着ける情熱。必殺の技を身に着けるために、枯葉舞う大樹の下でフェンシングに明け暮れる。そのようなシーンだ。そして貫く、舞う枯葉を。研ぎ澄まされた剣先が……


 それ自体が、必殺技ではない。

 必中。奇蹟を起こすための技。



 ……これが正しいかどうかは解らないけど、今現在における僕の全力全開だから。

 葛城かつらぎさんからの攻撃を阻止しながら、シャガイを救えること。つまりは戦わない戦士になること。それこそが我が機体……四季折々の原動力ともなる、執筆の力だ。


 勿論、シャガイとは言葉は通じない。


 でも、音楽が国境を超えるように、アニメも国境を越え愛されるように、執筆に込めた思いは情熱は、きっと通じると僕は信じている。だから、機体の装甲色も赤。



 心新たにと、18という数字を明記した。それもまた水転写式のデカールのように、鮮やかに。そして緑から赤へと変わる理由は、強き意思。情熱にも似たる熱き想いなの。


 ここからは、可奈かなとの共同作業だ。


 発動したの、可奈の隠された適合部分……Plum 014としての適合者となった。機体との脅威のシンクロ率。戦士ではなく、同じ研究員として共鳴した僕と可奈は、


 この先、合体を極めることになる。


 つまり僕の機体と、可奈の機体が合体するのだ。これまでに聞いたことのない合体。そうなったら、この基地の……いやいや研究所のオペレーターはどうなるのか?


 誰が僕ら、二人となった四季折々の指揮を鼓舞するのか? オーケストラには必要不可欠な指揮者。その役目と匹敵する重要な役割だ。――「あなたに任せるよ、新入り。ううん、新入りも卒業よ、シャルロットさん。あなたに預けるから、私と梨花の命をね」



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