第十七回 十七番目の機体と。


 ――明記されている。水転写式のデカールのように、鮮やかに。



 突如として現れた青と黄色がコラボした謎の機体。17という数字が印象的だった。そしていつの間にか僕は、医務室へとリターンしているの。辛くも、そこから退避……


 記憶がない?


 シャガイは? 謎の機体は?


「目覚めたようね、梨花りか……」


可奈かな、僕は……どうしてここに?」と、言いながらもまだ朦朧とする意識。


「気を失ってたの。ミサイルポットの攻撃を受けて。……機体は大丈夫。装甲も改造したし。アーマード対応にしてたから。でも不思議。機体はまるであなたを守るように」


 ……コクピットであるお腹を抱えていた。


 それは、まるで母が我が子を守るように。四季折々には、人のように心があるの。



 それよりも、


「可奈、知ってるんでしょ? 青と黄色の機体が何者なのか。それで、シャガイは? どうなったの? 生きてるの? それとも……」と、僕が言葉に詰まると、可奈は顔をゆっくり横に振った。その表情は、可奈にとっても辛いことなのと、僕にそう思わせた。


 僕は、言葉を失って……


「梨花の察する通り、私たち以外にもシャガイと戦っている組織があるの。……正確に言うとね、あったの。今も一人で戦ってるの、葛城かつらぎ先輩……」


 それはあの時の、ハスキーヴォイスの女性を指す。顔もその姿も、これまでの面識もないけど、可奈とは、古い付き合い……正確には可奈のお姉ちゃんとの付き合いだったようだ。何のために彼女は戦っているのか? それも相当の憎しみを保ちながらも……


 彼女が搭乗していた機体は、通称『ジプシーの異名』と呼ばれているそうだ。彼女もまた、僕と同じ適合者。……Plum 017と登録されている。過去のファイルには。



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